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遺骨とお香典は誰のものなのでしょうか

遺骨とお香典は誰のものなのでしょうか

Q

父が,葬儀の喪主と祭祀主宰者とを兄に指定する遺言を残して亡くなりました。
兄は,香典は喪主のものだから自分が取得するというのですが,納得いきません。
香典は遺産分割の対象にならないのでしょうか。
また,父の遺骨について,私は父が入信していた宗教の共同墓地に納めるのがふさわしいと思うのですが,兄は,先祖代々のお墓に入れたいといいます。
遺骨の扱いはどうやって決めれば良いのでしょうか。

A

1 香典は遺産分割の対象となるか
香典とは,慣習上,被相続人の死後にその葬儀を執り行う喪主への贈与として交付される金員であると考えられています。したがって,香典は相続財産にはあたらず,遺産分割の対象とはなりません。

2 遺骨の帰属
遺骨については,墳墓内に埋葬された遺骨は,墳墓の一部として祭祀財産を構成します。祭祀財産は,祭祀主宰者に承継され,祭祀主宰者は承継した祭祀財産を自由に処分することができるとされています。
他方,埋葬前の遺骨の帰属については従来から争いがあったところ,平成元年,この点が争われた事件において,最高裁は,埋葬前の遺骨は慣習上の祭祀 主宰者に属するという立場を採用しました。この最高裁判例を前提とすると,埋葬前,埋葬後を問わず,遺骨は祭祀主宰者に帰属し,祭祀主宰者が自らの判断で その埋葬・処分方法を決めることができます。

3 ご質問の場合
ご質問の事情では,被相続人の遺言によって,喪主・祭祀主宰者のいずれにもお兄さんが指定されています。香典は喪主に,遺骨は祭祀主宰者に帰属するという現在の取り扱いからすると,香典も遺骨もお兄さんに帰属することになると思われます。
もっとも,相続人間の協議で,香典を分けて取得したり,遺骨を分骨するといった合意をすることが禁じられるわけではありませんので,お兄さんに話し合いを求める余地はあります。その結果,合意に至らなければ,喪主・祭祀主宰者であるお兄さんに最終決定を委ねることになります。

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