MENU

よくある相続法律相談consultation

>
ゴルフ会員権の相続2

ゴルフ会員権の相続2

Q

亡父がXゴルフ場の会員権(預託金会員制ゴルフクラブです)を持っていました。亡父が購入した当時は相当高価だったようなのですが、このゴルフ会員権も相続の対象となるのでしょうか。

A

ゴルフ会員権の種類には、社団法人制、株主会員制、預託金会員制等がありますが、日本のゴルフクラブの大部分は預託金会員制ゴルフクラブであると言われています。
そして、預託金会員制ゴルフクラブの会員としての地位は、会員とゴルフ場会社との間の入会契約に基づくもので、ゴルフ場施設の利用権、預託金返還請求権及び会費納入義務をその主要な内容としています。
したがって、「ゴルフ会員権の相続」という場合、上記の権利義務全てを含む「ゴルフクラブの会員としての地位」の相続の問題と、「預託金返還請求権及び会費納入義務」という個別の権利義務の相続の問題を分けて考える必要があります。
このうち、「預託金返還請求権及び会費納入義務」という個別の権利義務が相続の対象となることについては争いはありません。これらの権利義務は金銭債権債務であり、特に相続の対象とならないとする理由がないからです。

問題は、「ゴルフクラブの会員としての地位」の相続の問題です。
相場がある会員権については、この「ゴルフクラブの会員としての地位」の相続が認められなければ、相続人は会員権市場で売却することが出来ませんので、相続が認められるかどうかが非常に大きな問題となります。

この点については、会員規約にどのような規定があるか、によって扱いが異なります。

(1)会員規約に「会員が死亡したときはその資格を失う旨の規定」 がある場合
この場合には、ゴルフクラブの会員たる地位は一身専属的なものであって、相続の対象となりえないとされています(最判昭和53・6・16判例タイムズ368号216頁)。

(2)会員規約に会員が死亡した際の取扱についての規定がない場合
これに対し、会則規定に会員権の譲渡に関する定めがある場合には、会員の死亡によりその相続人は、会員権の譲渡に準ずる手続を経てこれを取得することが出 来る、とされています(最判平成9・3・25民集51.3.1609)。この最高裁判例はその理由として、正会員としての地位の変動という結果から見れ ば、それが譲渡によるものか会員の死亡に伴う相続によるものかで特に変わりがないから、と述べています。
したがって、本件の場合、まずXゴルフ場の会員規約がどうなっているのかを確認するのが先決と思われます。

よくある相続法律相談 一覧