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粘り強い調査で遺産が明らかになった事例

粘り強い調査で遺産が明らかになった事例

小さい頃に両親が離婚し、以後父とは長年音信不通だった。最近になって突然父の弟という人から連絡があり「あなたのお父さんが亡くなったが、生前のお父さんの意向に従い遺産については同居していた自分が全て取得したい。ついては唯一の相続人であるあなたに協力して欲しい」ということだった。突然のことで驚いたが、父とは長年疎遠だったこともあり、場合によっては協力したい。ただ、そもそもどのような遺産があるかはっきりしないので、どのように対応したらよいか困っている。弁護士に依頼して遺産の調査をすることはできるのか。

事件の進行

本件のように、相続人と被相続人が生前全く交流がなかった、というケースは稀ではありますが、ないわけではありません。そのような場合の相続で何が困るかというと、そもそも遺産としてどのようなものがあるかが全くわからない、ということです。
被相続人と同居でもしていれば、郵便物や被相続人の話しぶりから、どのような財産があるかということはそれとなくわかるのですが、本件の場合にはそのような手がかりが全くありませんでした。
そこで、少なくとも預貯金は存在しただろうという見込みの下、被相続人が生前住んでおられた自宅周辺10キロ圏内の主要な金融機関の支店に対して被相続人名義の預貯金がないか、照会をかけました。金融機関に遺産の照会をする際には戸籍謄本の原本が必要なのですが、1つ照会をかけては原本を返還して貰って、また別の金融機関に照会をかけるということを繰り返しましたのでかなりの時間がかかりました。
しかし、時間をかけて粘り強く調査をした甲斐があり、複数の金融機関において被相続人名義の預貯金を発見することが出来ました。

弁護士からのコメント

この事案のように、弁護士が遺産の調査を依頼されることは非常に多いです。また、遺産分割交渉や遺留分減殺請求交渉の前提としても、遺産としてどのようなものが存在するかの調査は必須となります。
したがって、弁護士としては遺産を調査する様々な手法を知っておく必要があります。
詳細については、遺産分割協議に際しては,どのような点についてどのような調査を行えばいいのですかをご参照ください。
この事案のように金融機関に片っ端から照会をかけてみるというのは、時間はかかりますが、非常に初歩的かつ効果的な方法です。
また、不動産については、先ほどの記事も書いたように、当該不動産が存在すると考えられる市区町村の資産税課に「名寄せ帳」(なよせちょう)を申請する方法があります。この名寄せ帳には、当該市区町村内に存在する同一名義人の不動産(未登記物件含む)が全て記載されているので、被相続人名義の不動産の有無が確認できるのです。

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