本件のように、相続人と被相続人が生前全く交流がなかった、というケースは稀ではありますが、ないわけではありません。そのような場合の相続で何が困るかというと、そもそも遺産としてどのようなものがあるかが全くわからない、ということです。
被相続人と同居でもしていれば、郵便物や被相続人の話しぶりから、どのような財産があるかということはそれとなくわかるのですが、本件の場合にはそのような手がかりが全くありませんでした。
そこで、少なくとも預貯金は存在しただろうという見込みの下、被相続人が生前住んでおられた自宅周辺10キロ圏内の主要な金融機関の支店に対して被相続人名義の預貯金がないか、照会をかけました。金融機関に遺産の照会をする際には戸籍謄本の原本が必要なのですが、1つ照会をかけては原本を返還して貰って、また別の金融機関に照会をかけるということを繰り返しましたのでかなりの時間がかかりました。
しかし、時間をかけて粘り強く調査をした甲斐があり、複数の金融機関において被相続人名義の預貯金を発見することが出来ました。