MENU

当相談所の解決事例example of the solutions

>
>
相続放棄をした事例(債務の相続を回避)

相続放棄をした事例(債務の相続を回避)

長年交流のなかった親族Aの債権者から,親族Aが死亡したこと,私は親族Aの相続人にあたるので債務を相続しているはず,親族Aが死んでから半年以上経っており相続放棄はできないので,支払ってほしいと言われた。私が親族Aが死亡したのを知ったのはこの債権者から連絡を受けた時が初めてなのですが,相続放棄はできるでしょうか。

事件の進行

まず財産を調査したところ,残っていた財産額に比べて明らかに借金額が大きいため,相続放棄が妥当と考えられました。

次に相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知った時から」3か月以内に行う必要があります(民法915条)。本件では,親族Aの債権者から相談者が請求を受けた時点で既に3か月が経過していましたが,相談者と親族Aとの生前の関係,債権者から相談者にはじめて送付された請求書の日付などの証拠を整理し,相談者が親族Aの死亡を知ったのは,債権者から連絡を受けた時であることを丁寧に主張したうえで,家庭裁判所に相続放棄手続きを行いました。

その結果,債権者からこの相談者に対する請求は止まりました。

弁護士からのコメント

相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知った時から」3か月以内に行う必要がありますが(民法915条),この「知った時」の起算日次第で相続放棄が認められないこともあるため,債権者と相続放棄をしたい方の間で,様々な主張が繰り広げられることがあります。

本件でも,もともと親族との交流がなかったこと,債権者の請求で初めて知ったことなどは,すべて具体的な個々の事実を提出することにより主張を認めさせられたケースです。

相続の裁判や交渉では,法律論よりもひとつひとつの証拠が勝敗を分けますので,普段から証拠や記録をこまめにつけておくことが肝要といえます。

前のページに戻る